ヨットへの落雷の可能性

 ヨットへの落雷の可能性

落雷の一般論
雷は電流の通過ルートのあるところに落ちる。
金属製のものが地面や水面などに繋がっていて電流の通過ルートがあると
そこに落ちやすくなる。
海水や湖水は電流を良く通す。それで海面上や湖面上ではどこにでも落雷する。
絶縁物などがいっぱいある複雑な陸上とは異なる。

金属やカーボンなどの導電性のものでも、途中に電流を通さないFRPなどの絶縁物があると
電流通路は遮断されて雷は落ちない。

金属製の船舶の場合
水面上に鉄やカーボン製の船舶が浮かんでいる場合は電流通路が出来上がる。
周囲の水面よりも金属製のマストなどの位置が高いために、高い確率で雷が落ちる。
この場合はむしろ避雷針として考えて(マストに必ず雷が落ちるようにして
その他の部位の安全を確保する)ようにすればよいことになる。
車が雷に強いのと同じ原理である。

 木造船の場合
乾燥した木は電気的な絶縁物である。が、湿った木は電気を通す。
樹木には雷が落ちる。
乾燥木材を使った木造船でも、雨に濡れれば電気の通り道になり、雷が落ちる。
この場合は雷電流の流れ得る通路はその時々の状況で異なり予測は不能。
そのために火災になったり、近くにいた人が直接巻き込まれることもある。
過去に多くの木造船が雷被害にあっている。

 FRP製(電気的な絶縁物)の場合
FRPなどの絶縁物の船舶が水面に浮かんでいる時には
周囲の水面が電気を良く通し、船舶は電気を通さないので船に落雷する可能性は極めて低くなる。
船舶上に金属製のものや人体などの導電性のものがあっても
電流の通路はFRPで遮断されるために落雷はほとんどないと考えても良い。
マストがアルミ合金やカーボン製であっても、船体のFRPで電流通路が遮断される。

アルバトロスクラブのヨットの中にはカーボン製のラダーを装備するものもある。
これにアルミ合金などのティラーを装着し人が手で持った時には
【 人体 → 金属ティラー → カーボンラダー → 水 】
という電流通路が出来る。人体は導電性があり周辺の水面より高い。
そうすると人体に落雷する可能性ができる。
人口皮革の手袋を使用していれば電流通路が遮断されるが天然皮革の場合は
電流が流れる。人口皮革であっても水にぬれていれば絶縁性が落ちる。

★ 雷が想定されるような天気の時にはカーボン製のラダーは使わない。
★ FRPのヨットに直接雷が落ちなくても周辺の水面はどこにでも雷が落ちる。
ヨットのすぐ近くで落雷があった時などには雷電流からの電磁誘導と呼ばれる
電気的ショックの直撃を受ける可能性もある。
金属の箱で守られた車の中などとは異なり、危険である。

(人体の心臓は電気信号で制御されている。このため、心臓停止などが起こり得るのではないか!)

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