日韓対抗戦ーハン川での試乗

 ホテルは、ソウルのホリデーインだった。

65才になるもう一人の初対面の
セーラー乗りと同じ部屋だった。
当時、53才だったので、65才と云うのは
相当の年配に思えた。
ヨットのそれもレーザーに乗ると云うので驚いた。
「以前は川崎の方でクルーザーに乗艇していたが
手軽で割安なレーザーに乗り換えた」
とのことだった。
ラジアルリグのマストとセールを飛行機の手荷物として
運んできていた。

私も同じく、ラジアルの経験しかなかったので、
今回のレースでスタンダード
リグに乗ることに不安を感じていた。

明日からのレースに備えて、準備すると云うことで
ホテルで朝食を済ますと、関係者全員バスに乗り込み
ハン川のハーバーに向かった。
ハーバーはオリンピックが開催された競技場の近くだった。

ハーバーに到着して立派な更衣室でドライスーツに着替えると
配艇の抽選があった。
私は何とソウルレーザー協会の会長の新品の
艇が当たった。
真新しくて、艤装は最新のものだった。
バングやカニンガムはもちろんアウトホールの艤装も素晴らしかった。
セールのクリューとブームとはタイダウンではなく
塩ビ管を使っていて、コックピットのコントロールロープ
を引くと楽に滑らかに動いた。
バングやカニンガムも楽にコントロールすることが出来た。
旧艤装の経験しかなかったので驚いた。

次の日のレースからは、艤装は自分でやらないといけないので
集中して説明を聞いた。

艤装を手伝ってくれたのは、たくましいお兄さんだった。
私に、英語で経験を聞くので
「レーザーには20回ほど、乗艇したことがある」
と答えると、何も言わなかった。
「スロープを降りたところで、急激に風が強くなり、沈する恐れがあるので
注意するように!」
ということだった。
艤装を終えた艇をスロープから水におろした、
水におろしたところは底が平らで、作業はやりやすかった。
海とは異なり水位が変化しないので、スロープの
先が平らになっているのだ。
ドライスーツの腿の辺りまでの水の深さだった。
センターボードとラダーを下ろしてセーリングを開始した。
風はスロープを降りたところで右から左に向かっていた。
東の風だった。

500メーターほどの対岸に
スタートライン辺りを越えて向かった。
風は強くはなく、初めて乗るスタンダードの帆を
張ったレーザー艇は気持ちよく走った。
帆が大きいためか力強く頼もしく感じた。
スタンダードリグへの不安はなくなった。
風は右側から吹いていたので対岸で右折してクロースホールドを
セールしてみた。対岸は風に向かって左側だった。
コリオリの力が働き風が強くなると云う。
確かに風が強くなっていることを実感した。
レースコースを一周してセールを切り上げた。

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