レース二日目

 二日目のレースが始まった。

 470がスタートしてしばらくすると、スタートライン後方に待機していた
レーザー艇がスタートライン近くに集まって来た。

 艇を昨日同様にスタートライン真ん中のやや後方に停止して
号砲を待っていた。他艇のほとんどはスタートライン右側の
本部艇の後ろ辺りから、スピードをつけて
スタートラインめがけてセールしてくる。
停止している艇からの加速がへたくそなので
今日も次々と他艇に追い越された。
 金青年はスタート直後にロールタックを二回ほど繰り返すと
あっと云う間に先頭に立った。何と昨日とは異なり
左前方をめがけてセーリングを始めた。
他艇も金青年を追いかけた。
 それで、右方向にタックして右前方に向けて
クローズホールド(風上に45度ほどの角度で切り上がっていくセーリング)
した。
 右側のコースに向けてセーリングしている艇は他にはいなかった。
暫く走るとリフトの風を感じた。
風上マークに向かう時には風に対して45度の角度での上れるが
直接風上には向かえない。従って
右に左にタックを繰り返して風上のマークに向かう。
この45度ほどの角度でセーリングしている時に
風が触れて、風上に対してより上り角度が上がっていくのを
リフトの風と呼んでいる。
 まことに気持ちよく風上に上った。
《やはり、金青年の云った通り右側のリフト
の風の方が左岸の風の強まるエリアよりも良いように
思われた》
 上マーク近くに来ると
左側から、金青年・福井コーチが先頭争いを
しながらマークを回航した。それに続づくことが出来た。
福井コーチがこちらを見て驚いているのが分かった。
 昨日は第一レグの上マーク回航時には、
もう先頭グループが見えないほど
差がついていたのだ。
 結局、そのレースは韓国の32才のライバル青年には勝てた。
その日の三レースとも金青年は左コースを走り、
それを避けて、右コースを走った。
相変わらす、金青年・福井コーチ・韓国の元オリンピック選手に先頭集団に
続いて私が走り、32才の韓国青年・65才のおじさんの順だった。
それに、女子のラジアル艇が続いた。
 レースが終わった。

 表彰式が終わり、最後の宴会が始まった。

 4位に終わり表彰を逃した。
一人の差だったが、その差は無茶苦茶大きいものだった。
少し残念な気持ちではあった。
けれども、充分満足できた。
宴会の酒は格別だった。


 他艇に巻き込まれて苦戦するのを避けて他艇の走らない
クリーンエリアをセールすると云う作戦が成功したと思った。
金青年の豪快なロールタックを目の当たりにすることができた。
韓国のレーザー協会会長の最新艤装のレーザー艇に乗ることもできた。
初めてのスタンダードリグでのセールだったが問題なく乗艇できた。
セーリングする人や関係者と親睦を深めることもできたからだ。

 何より、ジョギングを始めて体調を整え、ハン川の地形を考えて
風を検討して、レースをイメージして臨んだ。
金青年とも話して、レースにそれなりに関わることが出来た。

コメント