カタマランヨットの問題点

 カタマランヨットは左右に張り出した
二つの船体でできているので、
安定性が増す。
船体の設計の自由度も増す。
船を安定に浮かべるための船体設計と
言う束縛からのがれて船体の自由な設計が可能になった。
水の浮力が大きいのでわずかな浮力体の船体が
あれば、その割に大きな上部を水面に持ち上げることも
改めて分かる。
 これを生かしてナイフエッジ(推進方向に
鋭くどがった船体)の船体のものが開発された。
トルネードやホビーキャットなどである。
左右に張り出した船体は安定なために
より大きな帆を上げることもできるようになった。
こうして高速のヨットができた。
ナイフエッジの船体は直進性がすこぶる良い。
それで、センターボードは不要になった。
南のサンゴ礁の浅い海でも楽しく乗ることが
できる。

 けれども、こうしたヨットには大きな弱点もある。
それは直進性が良すぎて回転しないということだ。
タックの回転半径が大きすぎる。
タックは非常に時間がかかり、できない場面さえ出てくる。
こうした状況ではジャイブを進路変更のメイン手段に
したりする。
 沈はなかなかしないが、一旦沈してしまうと
起こすのが大ごとになってしまう。
センターボードがないからだ。
完沈すれば沈起こしはほぼ絶望だ。
厳しい時化の海を航海するクルーザーには
使えない。

 ナイフエッジの船体はスピードに関しても
意外な問題を孕んでいる。
それは、スピードが上がっても
プレーニングしないので水との接触面積は減らない。
減らないどころか、スピードの上昇とともに
持ち上がっている船体前方も水につかり始めて
ブレーキがかかったような走りになる。
470やレーザーなどのようにスピードが上がるにしたがって
船体が浮き上がり、突き抜けていくように
加速されていくのとは逆の現象が起こる。
この感覚は楽しいものではない。


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