強風下のセール、その考え方

 風が強くなると
帆は力を増して速くなり、豪快なプレーニングを始めるようになります。
そうして、風を受けた帆の推進力が艇の中心線より外れてしまうと
艇に回転力が加わりラダー操作だけで艇の進行方向を定めることが難しくなってきます。《艇が風に切りあがりラダー操作で必死にこれを止めるのですが風が強まるとともに一層、切りあがりの力が増し手に負えなくなる》
これに有効なのはカニンガムを引き込んで帆の風の中心位置を後ろに下げる。乗艇位置を後ろに変更するなどです。艇が回転するのを防ぐのです。
こうした操作を〈ヘルムコントロール〉と言っています。
ヘルムコントロールが完全にできればラダーを手から放しても直進できます。
ヘルムコントロールができないでラダーで無理やり前進させるようでは
強風下のセールはできません。

 風が強まるとともに帆を引っ張る力も増します。
風速と力は比例ではありません。風速が5メータから7メータに上がれば
パワーは7×7/5×5=1.96倍の約二倍になります。
7メータの風速が10メータになれば
10×10/7×7=2.04倍のパワーが発生して約二倍になります。
そうしてメインシートやジブシートを引く力も大変重く感じられるようになってきます。ヒールを起こす力も必要になります。(センターボードをやや上げるとヒール起こしが楽になります。当然その分艇は横流れしていくことにはなります)
セイラーの体力が必要になります。
強風下でセールするのは体力勝負になります。
 
 強風下での風の変化は強烈です。前記のようにヘルムコントロールを完璧にやっていても風の変化で瞬く間に艇のヒールがきつくなったり、風が方向を変えて操船が追い付かなくなり沈することになります。この変化に対応するためにはす素早い動作が必要になります。素早く乗艇位置を変えたり、一瞬にしてメインシートを緩めたりすることです。
けれども、これも限界があります。

 それをカバーしてくれるのが操船テクニックです。
特にラダー操作です。ラダー操作での艇の変化はものすごく早いのです。ブローに煽られて艇が一瞬にして沈してしまうような状況でもラダーを思い切って引き込めば一瞬にしてヒールを止めることが可能になります。
《風にあおられたときだけラダー操作に頼るのではなく常時ラダーを引き込んでそれで
艇をフラットにするような操船が強風には有効です。同時にメインシートの出し入れも微調整しながら操船すると完璧だと思います》

 また、時々刻々と変化する風を観察するのが必須になります。ブローに巻き込まれて泡を食って対処するのか、ブローが入ることを予測しながら操船するかでは強風を乗り切る能力に大きな違いが出てきます。

コメント

  1. カニンガムを引くとドラフトは前に行くのでは?

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