チャンピオンのコーチ

　日韓対抗戦に向けて練習が始まった。

　若洲のレース講座に参加すると、福井コーチが
レスキュー艇に乗って見てくれることになった。

　朝、ハーバーで艤装をしていると
福井コーチがやって来た。
「福井です。私も日韓対抗戦に出場します」
「よろしく、お願いします。どのような選手が出るのですか？」
「レーザークラスでは、
　韓国側は、２８歳の韓国のトップクラスの選手がでます。
　強敵です。
　５０歳代の元オリンピック選手と３２歳の青年が出場します。
　こちらは、ほかに６５歳の方が出場します」
とのことだった。

　《すごい顔ぶれだったが、
普通のセーラも混じっていた。
玉石混交のレースだと云うことが分かった》

　初日に穏やかな風の中
訓練海域に向かってセールしていると
レスキュー艇に乗った福井コーチが近づいてきた。
　ブロードリーチで乗艇していたが
「もっと前に座って！」
と云うのでコックピットの前方に位置した。
そうすると
「もっと前に！」
と云うのでセンターボードよりさらに
前に座った。
「そのくら！」
と云うことでセールを続けた。
いつもはスナイプ艇よりはるかに遅れて
風の強い訓練海域に到着するが、
スナイプ艇に混じって到着できた。

　午後にはやや風が強くなった。
レース中にややハイクアウトをしながら上りのレグをセールしていると
レスキューに乗艇した福井コーチから
「もっと、メインシートを引き込んで！」
と云う指示があったので、メインシートを引き込んだ。
「もっと、目いっぱい！」
と云うのでこれ以上引き込めなくなるまで引き込んだ。
スターンのブロックとブームの最後端のブロックが当たって
これ以上引き込めなくなった。
「それをブロックツーブロックと云うから
覚えておいて！」
と教えられた。

　それから、こういう風にセール中にレスキュー艇から
コーチしてくれた。
ランニングの時に艇を傾けてヘルムコントロールすることや
バイザリーのセールなどを教えられた。

　何回かのコーチを受けると
いつのまにか、スナイプ艇と競ってレースが出来るようになっていた。